多様性、多様性、インクルージョン(DEI)を向上させる20の方法
Gartner(ガートナー)によると、全従業員に適用される福利厚生制度には、柔軟な勤務スケジュールを組んだり、仕事やプライベートにおける従業員のニーズに気を配っていると彼らに示したりすることも含まれます。
このような福利厚生制度は、従業員が所属意識を感じる度合いを、最大で38%も向上させることができます。
多様性とインクルージョンは、互いに関連し合う2つの概念です。多様性とは、従業員間の違いが軽視されるのではなく、むしろ認められ、尊重されることを意味します。
企業は、次のようなアイデンティティーにおける従業員の多様性を認めなければなりません。
- 能力
- 年齢
- 性別
- 人種
- 信仰宗教
- 性的指向
企業は、求人に対するさまざまな求職者を積極的に採用できますが、それはあくまでも最初のステップです。
新入社員が採用されて仕事を始めてからも、自分がその集団に属していて歓迎されていると感じてもらわなければなりません。
ここで、インクルージョンが重要になってきます。すべての従業員が、自分は尊重され、仕事で成功するための機会を平等に与えられていると感じる状況でなければならないのです。
この記事で紹介するアイデアは、「職場における多様性とインクルージョンを向上させるにはどうすればいいのか?」という疑問に対する出発点に過ぎません。
会社の方針を変えてみると、多様性とインクルージョンを向上させるための別の戦略も考えられるようになるでしょう。
1. 会社の行動指針に多様性とインクルージョンを追加する
「職場における多様性とインクルージョンを促進するにはどうすればいいのか?」と疑問に思っているなら、会社の行動指針の見直しから始めてみましょう。
行動指針は、会社が自社のことをどう捉えているか、そして従業員や株主に対してどのように接するかの基盤となります。
経営陣から執行役員レベルまで、会社の行動指針を通じて多様性とインクルージョン (D&I) に取り組む姿勢を示すことで、D&Iが優先事項であることを示せます。
ただし、D&Iは採用活動のときしか関係ないという印象を与えないよう注意しなければなりません。
採用する人材の多様性はもちろん重要ですが、それがすべてではありません。
実際の職場で多様性とインクルージョンを向上させるベストな方法を取り入れなければ、サポートされていると感じない従業員が、最終的にほかの会社を求めて去ってしまうでしょう。
2. 経営幹部に、業務内容の一部としてD&Iに責任を持たせる
経営幹部は全員、職場の多様性に対して責任を負うべきです。
D&Iを幹部の人事評価に加えることは、多様な人材を揃えることが人事部だけに任せる問題ではないということを、彼らにはっきり示すことになります。
幹部はそれぞれ、D&I2種類の成果を、自分の業務範囲内で計画し、実行できます。また、その成果を評価し、定期的に報告することも求められます。
経営幹部は、職場で多様性とインクルージョンを育むことは、一度「成功すれば終わり」ではないということを理解しなければなりません。
良い成果というのは、それぞれの幹部が積み上げていって初めて生まれるもの。良くない結果になったとしても、それは軌道修正して変更を加えるためのチャンスなのです。
3. 採用プロセスにおける目に見えないバイアスを減らす
ポジティブかネガティブかに関わらず、誰もが何らかの無意識のバイアスを持っています。
採用決定は、こうしたバイアスに影響を受ける可能性があります。たとえば、企業は次のようなことを行う傾向があります。
- 限定された求職者を引きつけるような求人広告を掲載する
- 特定の大学の学生にしか連絡を取らない
目に見えないバイアスを減らすために、採用プロセスを見直し、求人が少数の応募者に限定されないようにしましょう。
昇進制度についても、希望するすべての従業員にチャンスがあることを確認してください。
4. 新しい従業員を採用する際、「カルチャーフィット」ではなく「カルチャーアド」を意識する
「カルチャーフィット」という考え方をするのは少し危険です。
カルチャーフィットには、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用することも含まれる、という意見もあります。しかし、この言葉は巧妙な差別ではないか、という批判も出ているのです。
この問題を解決するには、求人広告や採用活動で行うコミュニケーションのすべてにおいて、「カルチャーアド」という言葉を使うようにしましょう。
「カルチャーアド」のほうが、企業が求める人材像をより明確に示しています。「カルチャーアド」とは、ありのままの自分で、仕事ができる人材、ほかの従業員と良好な関係を築ける人材、そして会社の掲げる価値観を共有してくれる人材を求めていることを意味します。
良い仕事をするために、全従業員が同じである必要はありません。多様な人材を積極的に採用することは、職場で異なる視点や斬新なアイデアを取り入れるための素晴らしい方法なのです。
5. チーフダイバーシティオフィサーを雇う
人事部が採用プロセスにおいてエクイティ(公平性)を担保できるようにするため、D&I手続きを監督する役員の雇用を決める企業が、近年増えてきています。
チーフダイバーシティオフィサー(CDO)は、D&Iプログラムの導入と、目に見えないバイアスを可能な限り減らす責任を負います。また、人事担当者が自分だけでは気づかないようなことを見つけ、改善できるようサポートします。
CDOの採用とDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の導入が全般的にトレンドとなっており、最近のGlassdoorの 調査によると、回答した企業の64%が、前年よりも多様性とインクルージョンに投資していると答えています。
6. 性別中立的な言語を含むように求人広告を更新する
採用プロセスをすべての求職者にとって公平にするために、企業は求人広告の中で、男性、女性、またはステレオタイプの言葉を使うのを避けなければなりません。
仕事とは、一連のタスクを遂行することであり、伝統的に男性または女性によって行われてきた仕事だからといって、それが「男性の仕事」または「女性の仕事」であるとは限らないのです。
求人広告に含まれる性差別的な言葉を修正するために、今までの求人広告を慎重に見直し、「彼」と「彼女」という言葉が使われていないかどうか確認してください。
もし使われていたら、「彼ら」という性別中立的な代名詞に置き換えなければなりません。この「彼ら」という言葉は、その職位がすべての求職者に対して平等に開かれていることを示します。
7. 求職者の名前を伏せて履歴書を審査し、無意識のバイアスを減らす
職場における多様性とインクルージョンを向上させる方法を真剣に考えている企業は、人事部が「ブラインド」プロセスを使用して就職希望者を審査するポリシーを導入すべきです。
変わった名前の人は、無意識 (または意識的) なバイアスに基づいて拒否されることが多々あります。調査によると、同じく女性の名前もこうした扱いを受けるようです。
しかし、企業が名前のバイアスにとらわれることなく履歴書を審査しようと心がければ、就職希望者の適性をより公平に評価することができます。
ただし、前述したように無意識の部分もあるため、バイアスすべてを排除することはできません。それでも、バイアスは可能な限り減らすべきです。
8. 自社に友人や知人を紹介するよう従業員に促す
従業員は、就職希望者を紹介するのに最も適した人材となることがあります。紹介制度を導入したり、紹介ボーナスプログラムを作成したり、ソーシャルアドボカシーソリューションを導入したりしてください。
紹介制度は、特別な経験はないけれど、やる気にあふれた才能ある人材の採用につながる可能性があります。例外はありますが、紹介された従業員は、友人や家族からの評価に関わるため、モチベーションが高いケースがよくあります。
さらに、履歴書上で自分自身をうまく表現できる人ばかりではありません。就職希望者のなかには、面接で直接顔を合わせると、より輝きが増す人もいるのです。
9. 就職希望者への面接は構造化されたプロセスで行う
面接プロセスを公平にするもう一つの方法は、すべての面接を同じように行うことです。
それはたとえば、大まかな台本やチェックリスト、または手順などを同じにすることを指します。
これを慎重に行えば、就職希望者は自然な会話の流れの中で、自分に関する重要な情報を伝えられます。
構造化された面接は、採用プロセスにおけるバイアスを減らすのにも役立ちます。
就職希望者それぞれに対し、同じかもしくは似たような質問をすることで、採用責任者はより科学的な方法でその回答を比べることが可能です。
その結果、採用プロセスがより滞りなく、スピーディーに進みます。
10. 多様性研修を新人教育のプロセスに取り入れる
新規採用者が、職場における多様性とインクルージョンの概念を取り入れるのは、早いに越したことはありません。
D&Iが会社にとって重要であることとその理由、会社がD&Iをどのように定義しているか、そしてインクルーシブな職場環境を作るため、具体的にどのような行動をしているかについて説明しましょう。
D&Iと会社の取り組みについて疑問を持つ新規採用者も、なかにはいるかもしれません。前職では、インクルーシブな文化形成を重要視していない職場環境だった可能性があるからです。
D&Iが職場での従業員エクスペリエンスに欠かせないものであることを、新規採用者に強調してください。全員が居心地が良いと感じていれば、仕事に集中できます。
そして、会社と従業員はこのシナリオから恩恵を受けることになるのです。
11. 会社のD&Iへのコミットメントを知らせるポスターを掲示する
D&Iポスターや画像は、職場の安全に関するポスターと同じくらい一般的なものになるべきです。
すべての従業員が職場の安全を守ることができるのと同じように、インクルーシブな環境作りに貢献することができるからです。ポスターでは、以下の項目を取り上げてみましょう。
- 年齢
- 人種
- 障害
- 性別適合
- 妊娠と育児
- 結婚と市民権のパートナーシップ
- 宗教
- 性的指向
- 安全な空間の保証
- 社会的背景
- 性別
D&Iの取り組みが期待されるようになり、従業員との共有・協力を通じて多様性の目標が達成されることを願っています。
12. 授乳中の女性のために授乳室を設ける
近年、授乳室はより一般的になっています。授乳室は清潔で快適なスペースであり、リラックスできる座り心地の良い椅子を備えている必要があります。次のような点に配慮しましょう。
- 哺乳瓶を置くスペースとともに、搾乳機に使用するコンセントを備えた部屋が必要です。
- 哺乳瓶を洗って消毒できるよう、シンクと電子レンジが必要です。
- 同時に複数人が使うときでもプライバシーを確保できるよう、カーテンや仕切りで区切られている独立したエリアが必要です。
- 母乳を保存するための冷蔵庫を置きます。
- コーヒーメーカーやティーメーカーを用意して、快適で楽しく授乳できるようにします。おすすめの読み物を置いておくのもいいでしょう。
13. さまざまな文化的および宗教的慣習を認める
あなたのチームがグローバルに働いているのかローカルに働いているのかにかかわらず、これは職場で多様性とインクルージョンを促進するための効果的なアイデアです。あらゆる文化や社会グループの祝日や祝典を認めましょう。
- 休日に祝賀会を開くことになった場合は、無宗教のものにすることを検討してください。
- 全員が伝統的な祝日を祝うわけではありません。
- 悲しい出来事や誰かの死、または家族関係にストレスを感じている従業員を含めて休日に集まると、その人が感情的な地雷源になる恐れがあります。また、こうした感情は職場にまで広がってしまう可能性があります。
- お酒を飲まない人には、ノンアルコール飲料を用意してください。「飲まない」ことが、問題になっては絶対にいけません。従業員は宗教的、医学的、または個人的な理由で禁酒している可能性があるからです。たとえば、妊娠中や授乳中、アルコール中毒からの回復中、または単に飲酒が好きではないという理由が考えられます。
14. 社内ブログを始める
ブログは、企業文化を構築し、従業員エンゲージメントを高めるのに最適な方法です。CEOと役員が、従業員とコミュニケーションをとるための気軽な手段だと言えます。
従業員は、従業員エクスペリエンスプラットフォームに独自のコンテンツを投稿することも可能です。そして、コメントや意見の共有、いいね、および適切な場合にコンテンツを再利用することができます。
ブログは、企業ニュースや業界ニュース、調査やアンケートを投稿する場です。従業員が自分のネットワークと共有したいコンテンツを会社の代表として共有するよう、企業は奨励すべきです。
従業員がブログに投稿した内容から、会社がD&Iに取り組んでいることがわかると、社内ブログは多くの潜在的な就職希望者と新しい顧客を引き付けるための強力なツールになります。
そして、そのコミュニティ全体がその企業に好意を持つようになるのです。
15. 従業員にフレックスタイム制を導入する
従業員には仕事以外の生活もあります。彼らは仕事に就きながら、子どもや家族の世話をしなければならないかもしれません。場合によっては、すべての責任を両立させるために、勤務時間に柔軟性が必要になる場合があります。
雇用主がこれを認識し、従業員に柔軟性を提供するには、さまざまな方法があります。
一部の企業には、全員が勤務するコア勤務時間があります。
たとえば、毎日午前10時から午後2時までといった具合ですが、自分のスケジュールに合わせ、始業時間を午前7時から午前11時までの間にずらすことが可能です。
またある企業では、従業員が個人的な理由でオフィスを離れることを許可していますが、彼らは信用制度に基づいてスケジュールを調整するか、あとで時間を作ればいいということをわかっています。
3つ目の方法は、在宅勤務を導入することです。従業員は定期的に、または必要に応じて在宅勤務ができます。
16. キッチンエリアの掃除を全員で行うための正式な当番制を設ける
多くの職場では、キッチンを掃除するメンバーが固定化されがちです。ランチルームやキッチンエリアは、職場で多様性とインクルージョンをどのように実現するか考えている人にとって、素晴らしいスタート地点だと言えます。
一度に2人の従業員が責任を持って、そのエリアをきれいで整理整頓された状態に保つようスケジュールを立てます。そして、その状態が保たれているかどうか休憩時間に確認します。
キッチン当番はランダムに割り当てるようにしましょう。普段は顔を合わせない従業員が交流するチャンスです。
これは、インクルージョンと多様性を促進するもう一つの機会だと言えます。
17. 議論を促すために、会議前に議題を共有する
会議のとき、「臨機応変に考える」ことが得意な従業員も一部いますが、多くの従業員 には、何を発言したいのか事前に考える時間が必要です。
会議の主催者が会議前に議題と議論のポイントを共有しておけば、参加者は議論に備えることができます。
すべての参加者から意見を引き出すための良い方法は、順番に意見を求めることです。誰もがコメントをしたり、逆にパスしたりもできます。このポリシーは全員に参加する機会を与えるため、誰かが置き去りにされることはありません。
意見を共有する時間に、発言している人が遮られないようにするポリシーを設けましょう。議論に加わりたくても、各参加者は順番を待たなければなりません。
18. 有給休暇と病欠の制度をアップデートする
年次有給休暇や個人的な休暇など、いつ休暇を取るべきか従業員自身が決定できるようにします。
従業員の心身の健康を考えて病欠の制度を拡大し、必要に応じて月ごとに病欠を使えるようにしましょう。
この制度を従業員が悪用しないと信じてあげてください。
従業員が罰せられることなく、必要に応じて休暇を取るタイミングを柔軟に選べるようにすれば、従業員のベストな努力を引き出すことができます。
19. チームランチの場を設ける
ときどき会社資金の一部をチームランチのために使いましょう。チームランチの時間は、従業員が一緒に食事をしながら互いのことを知れる時間です。
ランチタイムは限られた時間ですので、内向的な従業員が何を話したらいいか考える必要があまりありません(そして食べ物や飲み物もあるため、誰もが何かしらしている状態でいられます)。
異なる文化の料理を食べることは、多様性とインクルージョンが改善された職場環境をさらに育むのに最も良い方法です。
また、普段は挑戦しないような新しい味や食感に触れることもできます。
20. 従業員がスキルを向上させるための研修機会を提供する
「職場で多様性とインクルージョンを向上させるにはどうすればよいのか?」という質問に対する見逃されがちな答えは、すべての従業員がスキルを向上させる機会を提供することです。
これは、働いているすべての従業員に開かれるべきものです。
- 従業員が社内でさまざまな仕事にチャレンジするよう奨励します。
- 仕事内容を変えようと思っている従業員が、その仕事が自分に合っているかどうかを知るために、そのポジションの人を観察できるようにします。
- 仕事に関連する研修コースや研修プログラムの授業料と経費を負担します。
多様なバックグラウンドと視点を持つ従業員がいると、職場に奥行きが出て豊かさが増します。
地域社会に本当に貢献したいのであれば、その会社は地域社会の意思を反映する従業員で作られるべきです。
チームメンバー全員が、社内および社外と簡単にコミュニケーションをとることができる従業員エクスペリエンスプラットフォームで、社会的な活動を行いましょう。