従業員エクスペリエンスが企業にもたらす10のメリット
「従業員エクスペリエンス」が、今、多くの人の議論の的になっています。従業員エクスペリエンスとは何なのか、自社にどのようなメリットをもたらすのかについて知りたいと思っているのです。経営者にとって、常に自社を競合他社から引き離し、優秀な人材を引きつけ、顧客満足度向上によって売り上げ増を目指すのは当然のことです。従業員エクスペリエンスは、こうしたあらゆる点でビジネスに恩恵をもたらします。そのメリットについて詳しく知りたい方は、ぜひこの記事をご覧ください。
従業員エクスペリエンスとは?
経営者は従来、顧客に質の高いサービスを提供することに注力してきました。顧客を大切にし、顧客のニーズを確実に満たすことが収益に直結すると考えているからです。
しかし近年、企業は従業員への投資にも重きを置くようになりました。従業員エクスペリエンスに時間とお金を費やすことは、市場の変化に伴って浮き彫りとなった動向により、多くの企業にとって優先事項となっています。
その動向は次のとおりです。
- 有能な求職者の数が減少しているため、優秀な人材の獲得と維持がこれまで以上に重要になっている。
- 新しく採用した人材がすぐに高いパフォーマンスを発揮できるように、採用後もエンゲージメントを高める必要がある。
- 仕事と家庭生活の両方に影響を及ぼすため、従業員の全体的なウェルビーイングへの投資が求められている。
従業員エクスペリエンスには、求職者が最初に採用責任者と面接をしてから採用プロセス全体を経て最初の数日間出社するところまで、さらには雇用関係が終了するまでの、従業員と雇用主との間のすべてのやり取りが含まれます。
従業員エクスペリエンス管理には、退職面談(実施している場合)、最終給料の受け取り方法や健康保険の継続オプションの説明、社用備品や社員証、通行証や鍵などの返却確認といった、雇用関係の終了手続きも含まれます。
従業員エクスペリエンスの10のメリット
優れた従業員エクスペリエンスにはどのようなメリットがあるのでしょうか? 従業員が仕事熱心であれば、会社が行っていることに積極的に関わろうとします。
彼らは単に「勤務時間通りに働いて給料をもらおう」と思っているわけではありません。仕事を効率良く行うことに意欲的であり、さらには業務のやり方を改善できないか、常に模索しているのです。従業員エンゲージメントが高いと、雇用主には多くのメリットが生まれます。
1. 優れた従業員エクスペリエンスは離職率の低下につながる
離職率が高いのは避けたいもの。離職率が高いと残った従業員の士気が低下し、コストがかかり、顧客サービスの質にも悪影響をおよぼすからです。
自社に優秀で能力の高い人材を引きつけたいと思うのは当然でしょう。才能のある候補者を見つけ出すために時間と労力をかけたのなら、やりがいのある仕事を与え、そう感じてもらうようにすることで、その優秀な人材を引きつけて会社にとどめておくようにしたいものです。
もしエンゲージメントを持てなければ、その人は転職してしまうかもしれません。
最悪の場合、優秀な人材は別の会社でチャンスを見つけ、ほかの従業員を引き連れて転職してしまう可能性すらあるのです。
そうなると、一度に複数のポジションを補充するという、コストと時間がかかる業務に直面することになります。その結果、顧客満足度と従業員エクスペリエンスのレベルが、どちらも低下することになりかねません。
2. より優秀な求職者を引きつける
求職者は応募前に、おそらくオンラインやオフラインの情報源を用い、その企業について徹底的にリサーチしているでしょう。現社員や元社員に連絡を取り、企業とその方針について可能な限り情報収集することもあります。
求職者は「どんな職場で、どんな働き方ができるんだろう?」と気になっていることでしょう。転職先を選ぶ際、こうした要素はどれも重要な判断材料となります。
求職者は企業の内情を探るために、実はLinkedInなどのソーシャルメディアサイトもチェックしています。そこで実際に働いている人の声を探し、企業の実態や「本当に」働きやすい職場かどうかを確認しようとしているのです。
3. 従業員同士が協力するようになる
仕事熱心な従業員は、自分の持っている知識をほかの従業員と積極的に共有しようとします。ほかの従業員をライバルとしてとらえるのではなく、一緒に働く仲間として協力しようとするのです。
こうした意識の変化は重要です。それは、コーヒーブレイクやランチタイムに顔を合わせた際にも、従業員同士が気軽にアイデアを共有できるようになるからです。
こうした形式ばらないナレッジシェアリングが行われることで、ミーティングで議論を行う際にも、従業員ははるかに発言しやすくなります。
ただし、ミーティングの司会者は、即座に意見を言える人もいれば、議題についてじっくり考えてから発言したい人もいるということを覚えておかなければなりません。
後者はメールや文書、あるいは社内ネットワークシステムで意見を共有することもあります。
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4. 経営陣と従業員間のコミュニケーションが向上する
従業員は仕事をするときに、自分が何に対して責任を負っているのか、明確に理解しておきたいと考えています。
大企業で働く多くの従業員にとって、形式主義が蔓延し、会議や承認プロセスが多すぎて何も進まないということは、主な不満の一つなのです。
経営陣と管理職は、従業員が普段どのようにコミュニケーションを取っているのか把握する必要があります。従業員が社内ネットワークシステムを好む場合、一斉メールによって何かを発表したり、そのほかのメッセージを送ったりするのはベストではありません。
管理職とチームリーダーは、質問や気になることがあればいつでも気軽に相談できるオープンな環境があることを、従業員に伝えましょう。自分が仕事で成功するよう、管理職やチームリーダーがサポートしてくれている、と従業員が感じているような状態であるべきです。
5. 従業員の生産性が向上する
幸せを感じ、仕事熱心な従業員のほうが生産性が高いことは、容易に理解できると思います。彼らは仕事をうまくやりたいと考え、そのためにより適した方法を常に模索しています。
社内ネットワークシステムは、従業員がリアルタイムで協働するのに非常に効果的なツールです。部署内、または他部署と共にプロジェクトに取り組んでいる従業員は、そのプロジェクトに関する質問を投稿することができ、プロジェクトメンバーであれば誰でも回答できます。
この社内ネットワークシステムにより、従業員は質問したあと、すぐに仕事に戻れるのです。
社内ネットワークシステムは、プロジェクトメンバーがアクセスできる情報を保存するのに最も適した場所でもあります。
この情報には、報告書やホワイトペーパー、マニュアルなどが含まれます。プロジェクトメンバーが必要な情報を探すのに費やす時間が少なくなれば、生産性が向上するでしょう。
6. 顧客満足度が向上する
従業員エンゲージメントは、優れた顧客サービスにつながります。なぜなら、エンゲージメントの高い従業員は、より良い顧客体験を生み出せるからです。それは結局のところ、彼らが自社の製品やサービスにより深く関わっているからです。
顧客が何かで困っていてそれを解決したいと申し出ると、彼らは顧客の言うことをよりじっくりと聞きます。
そして顧客と協力し、その問題(顧客が探している商品を見つけること、よくある質問への回答、返品対応や請求書作成など)を工夫して解決するのです。
テムキン・グループが行った調査によると、エンゲージメントの高い従業員を擁する企業の79%は、そうした従業員がいない企業に比べ、「著しく優れた顧客サービス」を提供することができたとのことです。
7. 従業員が会社の成功により貢献しようとする
従業員エンゲージメントが促されている職場環境では、従業員は自分が貢献することが会社にとって重要であると考えています。
自分の仕事が評価されると、自社をより良くするためのアイデアを管理職や経営陣に提案しようという気持ちになるのです。
エンゲージメントがない従業員は、そうしたアイデアを提案することはありません。誰も自分の意見には耳を傾けないだろうし、ましてやそれを実行に移すことなどないだろうと思い込んでいるのです。
いずれにしても、単に毎日をやり過ごすだけであり、会社をより良くしたり成長させたりすることに関わらないようにしています。
8. ミレニアル世代にとってより魅力的な企業になる
ミレニアル世代は、「モノ」にとらわれることよりも、経験を積むことにより関心を持っています。
彼らのこうした価値観は、キャリア選択にも反映されています。経営者はなぜ、自分の会社をミレニアル世代の求職者にとって魅力的なものにするよう投資しなければならないのでしょうか?
LinkedInの2018年の職場学習レポートによると、この世代は2025年までに、労働力の75%を占めるようになるからです。
求職者は、仕事とプライベートのバランスに重きを置いている人たちで構成されるようになります(彼らは人生のさまざまな側面を区別せず、一方を犠牲にすることなく、うまくバランスを取りたいと考えています)。
この説明に当てはまる人は、認められ、サポートされ、個人的に気にかけてくれると感じられるような、優れた従業員エクスペリエンスを提供してくれる企業を見つけたいと考えていることでしょう。
9. 従業員エクスペリエンス調査の結果がより正確になる
優良企業は、従業員が組織についてどう思っているのかを把握するために、従業員エクスペリエンス調査を実施します。
また、組織に対する従業員のコミットメントと熱意を測定し、従業員エンゲージメントを高めるために、さらにできることがないか判断します。正確な調査結果がなければ、企業はこの問題について適切な意思決定を行うことはできないのです。
また、企業は調査結果を必ず分析しなければなりません。分析しなければ、貴重な時間を割いて調査に協力する必要があったのかと、従業員が考えてしまいます。
調査結果を分析することも、企業内で強固な従業員エクスペリエンスを生み出す一環なのです。
10. 投資収益率(ROI)が向上する
率直に言うと、エンゲージメントしていない従業員が存在するほど、企業には余裕がありません。
Gallupによると、積極的にエンゲージメントしていない従業員は、アメリカ経済に毎年4億5000万〜5億5000万ドルもの損失をもたらしています。
彼らは今の雇用状況に対して強い不満があるため、チーム全体の士気を低下させます。
また、関わる人全員に不満をぶつけ、その態度は周囲に波及していきます。適切な指導が入れば、なかには仕事に対する考え方を変えられる人もいるかもしれません。
雇用主のあなたには現時点でしてもらっていない、仕事をうまく行うために欠かせない特別なサポートを必要としている可能性があるのです。
従業員エクスペリエンス戦略に投資し、高いレベルの従業員エンゲージメントを生み出すと、収益性は約22%向上、損失率は28%減少し、株価は上昇します。(出典)
上記のような従業員エクスペリエンスの例を企業が導入すれば、従業員がエンゲージメントし、最大限の能力を発揮できる職場環境を作ることができます。そしてその結果、企業と従業員の両方が恩恵を受けられるのです。
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