職場における多様な文化とインクルージョンの15の大きな利点
職場の文化的多様性とエクイティ(公平性)は、単なる流行語ではありません。ガートナー社の調査によると、多様な人材で構成された職場は、パフォーマンスを12%向上させることがわかっています。そして、多様なバックグラウンドを持つスタッフを雇用している企業で働く従業員の20%は、より長く会社にとどまる意思があると報告されています。
職場のエクイティ(公平性)や多様性、インクルージョンとは何でしょうか?
多様性とインクルージョンは互いに関連のある概念ですが、互換性はありません。
多様性は、職場を構成するもの自体に焦点を当てています。
一方インクルージョンは、異なる従業員グループの視点や貢献がどれだけ尊重され、統合されているかに焦点を当てています。
ある企業が複数グループ (男性、女性、ミレニアル世代、X世代、ベビーブーム世代、さまざまな宗教的信条、人種、性的指向など) から人材を雇用している場合、その職場は多様性があると言えるでしょう。
しかし、その企業が自社をインクルーシブだと言いたいのであれば、あらゆる従業員の視点を平等に尊重しなければなりません。
インクルージョンはまた、女性の管理職が社内で重要な地位を占めることも意味します。従業員のほとんどが女性であっても、管理職が全員男性であれば、その職場はインクルーシブとは言えません。
職場のエクイティ(公平性)は、多様性とインクルージョンを確立した職場から生まれるものです。
それは単に賃金平等 (同等の仕事に対して同等の賃金) を確立すること以上のものです。
エクイティ(公平性)には、平等な教育機会や成功、そして昇進も含まれます。
- すべての従業員に、学び、向上するための機会が等しく提供されるべきであり、それができていればより良い仕事に就けるようになります。
- メンタリングプログラムは全員が利用できるようにする必要があります。
- 奨学金または学費返還プログラムも、すべての従業員が利用できるようにする必要があります。
- 管理職は、チームメンバーに公平にボーナスを分配する責任を負うべきです。もし公平なシステムでなければ、その企業にはふさわしくありません。
1. 民族的多様性はよりクリエイティブなアイデアと問題解決をもたらす
チームがさまざまなバックグラウンドを持つ、さまざまな年齢層の人たちで構成されている場合、彼らは職場にそれぞれの経験と視点を持ち寄ります。そして、それぞれが自分の視点から議論に貢献できます。複数の視点を持ち合わせると、全員がまったく同じ視点で問題やアイデアに取り組む場合よりも、チームメンバーが互いのアイデアをより創造的に発展させられるのです。
全員が会話に参加する機会を与えることは、よりクリエイティブなアイデアとより良い問題解決につながります。声高に主張するメンバーに焦点を合わせ、控えめな人を無視するのは簡単です。誰もが誇りに思える方法で全員が参加できるように工夫しましょう。
2. 優秀な求職者はインクルーシブな職場文化を持つ企業に引きつけられる
多様性とインクルージョンを奨励する企業は、質の高い求職者を引き付けて雇用する可能性がはるかに高くなります。
こうした有能な人材は、求人内容や企業文化に合った人材である可能性が高くなります。
求職者は自分に最も合う雇用者を見つけるために、潜在能力を持った雇用者をリサーチしています。
多様性は、求職者が新しい仕事を探すときに希望する特徴のうち上位に挙げられるものであり、求職者の75%以上が、多様性は欠かせない要素であると述べています。
- 従業員と求職者の32%が、多様性がほとんどない企業には応募しないだろうと述べています。
- 上記の割合は、黒人系アメリカ人の求職者と従業員の間では41%と、白人系アメリカ人の30%より高くなっています。
- 多様性は、LGBTQの求職者と労働者にとって欠かせません。彼らの41%が、多様性が重要であると述べており、これはLGBTQではない求職者と労働者の32%と比較すると高くなっています。
3. 特定の市場からの顧客を企業がより深く理解できる
多様な従業員チームを擁する企業は、多様性が少ない職場より優位に立てます。それは、従業員が多様であれば、特定のコミュニティの顧客とより効率的にコミュニケーションを取れるからです。
たとえば、ある企業がラテン系コミュニティ内の従業員を雇用した場合、彼らはラテン系顧客の習慣や、地域的および文化的差異についての洞察力を持っているはずです。
そして、自分たちと同じラテン系の顧客にアプローチする最善の方法を、営業・マーケティング部門にアドバイスすることもできます。
そうなれば企業は、それまで製品やサービスのターゲットにしていなかったまったく新しい市場セグメントにも目を向けることができるかもしれません。
4. インクルーシブな企業は、国際的な顧客を獲得しやすくなる
国際的なビジネスを築くことは、職場における多様性やエクイティ(公平性)、そしてインクルージョンの利点について考えるときに、最初に思い浮かぶものではないかもしれません。
しかし、見込み客とつながることは、成功する販売への第一歩です。マイノリティの人たちにとって、自分と同じように見える人を雇用している企業から商品やサービスを購入するのは、より気分の良いことなのかもしれません。
さまざまなバックグラウンドを持つ多様な人材を採用することは、あなたのビジネスが世界中の顧客にサービスを提供できることを意味します。
チームメンバーがリモートで働き、地元の購入者とコミュニケーションを取れば、世界中の拠点から製品を販売できるからです。
従業員エクスペリエンスプラットフォームがあれば、従業員は言語を問わず、どこにいても顧客やほかの従業員とコミュニケーションを取ることができます。
社内コミュニケーションソリューションにより、従業員は同じオフィスにいなくても、互いのことがよくわかるようになるのです。
5. 民族的多様性を持つ企業は、より幅広い商品を提供できる可能性がある
多くの企業は、顧客に提供する製品の種類について、グローバルなアプローチを取っています。
さまざまなバックグラウンドを持つ従業員を雇用することは、彼らが自社で販売する製品を選ぶ際に、意見を提供できることを意味します。それは彼らが、どの製品が自分たちの習慣や文化を的確に反映しているのかがわかるからです。
そうであれば、企業はさまざまなバックグラウンドを持つ顧客にアピールするために、製品ラインを拡大できます。
特定のコミュニティのメンバーである従業員に相談することで、企業は幅広いグループに訴える高品質な製品を提供しているという評判を得ることができるのです。
6. 社会的に信頼でき、顧客のことを考えているという評判を得る
多様な労働力を持つ企業、または多様性とインクルージョンを積極的に擁護することに努めている企業は、顧客から社会的に信頼でき、顧客のことを考えていると思ってもらえます。
多様なバックグラウンドを持つ従業員の雇用を優先すると、顧客がチームメンバーとやり取りしやすくなります。
多様な従業員がいると知っている顧客は、その企業に自分のニーズと期待を理解している人がいるとわかっているからです。
顧客はその従業員とやり取りしたときのほうが、より気分良く購入に踏み切れるかもしれません。
一部の購入者はその企業がインクルージョンを促進していると知れば、安心して取引してくれる可能性があるのです。
7. インクルーシブな企業は、従業員間の信頼を築く
誰もが自由に、正直に、自分の意見を表明できる安全な環境を作っている企業は、競合他社に対して確実に優位となります。
そうした企業では、従業員が自分を正直に表現できるだけの十分な信頼を経営陣に置いています。彼らは自分の弱さをさらけ出すこと、また、ほかの従業員も同じであることを受け入れるのに抵抗を感じません。
こうした企業が、創造的なアイデアが最も共有される場所なのです。
従業員が本当に考えていることを共有するのをためらっていると、雇用主と自分自身から最高のアイデアのいくつかを奪ってしまうことになります。
しかしなかには、自分の意見を笑われたり、ほかの従業員から否定されたりするのではないかと、強い不安を覚える人もいるのです。
逆に、あらゆるアイデアを検討する職場環境であれば、どんなアイデアも軽視されることなく、グループメンバーが自由に自分の考えを共有できます。
そうすれば、企業はより創造的なアイデアの恩恵を受けられ、従業員は互いの視点を辛抱強く、また寛容に受け入れる方法を学べます。
8. 従業員エンゲージメント率が向上する
なぜ職場の多様性とインクルージョンが重要なのでしょうか?
すべての従業員が歓迎され、価値があると感じる環境を作ることができれば、彼らは最高の仕事をしてくれるからです。
逆にエンゲージメントしていない従業員は、毎年雇用主に多額の費用を負担させます。
ギャラップ社の調査によると、エンゲージメントしていない従業員の生産性は18%低く、欠勤率は37%高く、収益性は15%低くなります。
これらの数字は、エンゲージメントしていない従業員の年間給与の34%に相当するコストとなります。一方、感謝されている従業員は、仕事に対する満足度が高くなります。
彼らは自分の仕事に集中し、日々職場でベストを尽くします。そして、チーム会議で積極的にアイデアを共有し、顧客サービスを提供する際により一生懸命努力してくれるでしょう。
また、エンゲージメントの高い従業員は、雇用主についての良い情報をソーシャルメディアで共有し、よりレベルの高い採用候補者を企業に引きつけてくれます。
9. 従業員の仕事のパフォーマンスが向上する
職場が自分の居場所であると感じると、従業員は自分の持つ一面を嫌に思うのではなく、それを利用して違いを生み出す、つまり差別化することに集中できます。
職場における帰属意識は、仕事の成果を56%以上向上させることがわかっています。
努力しても真剣に受け止められず、上司が人として気にかけてくれないと感じている従業員よりも、敬意を持って扱われていると感じている従業員のほうが、企業のためにより一生懸命働くのは当然のことです
10. 従業員の離職率が低下する
幸せで、職場において自分に価値があると感じる従業員は、その雇用主のもとにとどまる可能性がはるかに高くなります。
インクルーシブなポリシーを持つ企業は、スタッフの離職率を最大50%低下させられる可能性があります。
従業員を補充する平均コストは、給与レベルによって以下のようになっています。
- パートタイム:20万円~30万円
- 技術職:従業員の年間給与の100〜150%
- マネージャー職:従業員の年間給与の最大213%
従業員を補充するコストには、採用と新人教育にかかるコストが含まれます。
従業員が離職したときにかかるそのほかの費用には、生産性の低下や顧客サービスのエラー、研修コスト、および企業への文化的な影響が含まれます。
従業員が辞めると (特に離職率が高い場合)、ほかの従業員の仕事へのエンゲージメントが低くなる傾向があります。その結果、少なくともしばらくの間は生産性が低下してしまいます。
11. 多様性のある職場には、より多くのスキルと能力が持ち込まれる
従業員が互いに似たようなバックグラウンドを持っている場合、アイデアや意思決定を行う際に、似たような見方をする可能性が高くなります。
この状況では、企業は安全な道にとどまり、これまでやってきたことを変えようとしません。
しかし、多様なチームは企業を象徴します。異なる地域 (または海外) で育った人たち、年齢層、性別、性的指向、さまざまな教育バックグラウンドを持つ人たち、全員が企業の成長に貢献できます。
従業員それぞれが、独自のスキルや能力、経験を企業にもたらしてくれるのです。企業はこうして、目標達成のために利用できるより深く、より豊かなスキルレベルを手に入れられます。
12. 文化的多様性は、専門的および個人的な成長のためにより多くの機会を生み出せる
多様性のある企業は、高学歴で野心のある求職者を引きつけます。専門知識を持った彼らは、さらなる教育と成長の機会を与えてくれる求人を探しています。
- 従業員は異なる文化を持つほかの従業員から学びます。
- 働く人は雇用を通して交流する際に、それぞれの視点 (および伝統) を共有します。
- こうした出会いは、人々の間の理解を深めます。
- それらはまた、偏見を減らし、固定観念を弱めるのに役立ちます。
要するに、さまざまなバックグラウンドや経験を持つ人々が職場にいると、誰もが恩恵を受けるのです。
13. 差別との闘いに取り組んでいることを示せる
ハーバード・ビジネス・レビューが指摘するように、多様性を受け入れることは、職場における差別や抑圧と戦うための最初のステップであることがよくあります。
多様性というのは、組織全体で体系的に変化することを必要とする動きだからです。
変化が有意義なものになるためには、それが上から下へと始まらなければなりません。リーダーは従業員にとっての模範となります。
職場で差別をなくそうという考えに、口先で賛成するだけでは十分ではありません。彼らが遭遇するあらゆる状況において、日々「行動で示す」必要もあるのです。
これが、企業に永続的な変化をもたらす唯一の方法です。
14. 多様性が企業投資家との関係を改善する
職場のインクルージョンは、取締役会だけでなく現場にも広がります。
企業投資家には、さまざまな年齢、バックグラウンド、性的指向、宗教的信条を持つ人たちを含めることができます。
彼らは企業に影響を与える決定を下すため、意識的、または無意識的に、自分自身のこうした部分を使います。
企業は新しい資金源を引きつける際、多様性をその要因として使うことができます。
投資家は、自分たちが良いと感じられるものに投資したいと考えています。
彼らは進歩的で模範的な企業市民であり、利益を上げている企業を支援したいと考えています。
投票権のある株主も投票権のない株主も、関係を築ける取締役会メンバーがいる企業に投資するほうがより気持ち良く感じるでしょう。
そうなれば、投資家は企業により多く投資したり、より頻繁に投資したりすることを選択する可能性があります。
15. 多様な企業はより多くの収益を生み出す
最近の研究によると、「インクルーシブな組織」は、次の結果を達成できます。
- 従業員1人当たりのキャッシュフローが2.3倍になる
- 収益が1.4倍になる
- 企業が財務目標を達成する可能性が120倍高くなる
仕事に集中し、最高レベルの顧客サービスを提供することに焦点を当てた従業員がいる企業は、売上を伸ばす可能性が高くなります。
また、リピーター顧客を獲得する可能性も高く、それが一定期間の収益目標を達成 (または超過) するのに役立ちます。
企業というのは、それ自身や経営者、株主 (存在する場合) を支えるための収益を生み出す目的で存在します。
文化的多様性は、健全で成功した企業を構築するのに役立つ強力なツールです。上記にリストされているすべての利点を考えると、それらを活用しない手はありません。